研究内容(ポーラスシリコン関連)

国立大学法人 兵庫教育大学 大学 小山研究室

 

※教材・教具開発関連の研究内容はこちらをご覧ください.

 

 

1.偏光照射法による異方性ポーラスシリコンの作製と機能性デバイスへの応用

 

 陽極化成(ポーラスシリコンを作製するための電気化学処理)のときに直線偏光を照射すると,面内に光学異方性をもつポーラスシリコン層ができます.図はそのようにして作った試料の発光特性 (直線偏光度)の異方性を測定したものです.これを応用すれば,偏光状態により反射率の異なるミラーや,光の偏光状態を変える波長板などができます.詳しくは発表論文をご覧ください.

 

 

 ●ポーラスシリコン(多孔質シリコン)について

 

 

 

 

2.ナノ複合発光材料の開発

 

 ポーラスシリコンに色素を吸着させ,母体(ポーラスシリコン)からのエネルギー移動により色素を発光させる実験を行っています.下図は発光の直線偏光度(直線偏光メモリー)を測定したものですが,3.0 eVで励起したとき,2.2 eV(色素の発光ピーク)で直線偏光度が低下していることがわかります.これは,母体から色素へエネルギー移動が起こっていることを示しています.

 詳細については発表論文をご覧ください.

 

 

※この研究は東京農工大学およびチュニジア科学研究所と共同で行っています.

 

 

 

3.ポーラスシリコンの教材応用 〜手作りLED

 

 ポーラスシリコンは簡単に作ることができ,しかも電圧をかけると可視発光を示すため,学校教材への応用が期待されます.しかし,そのためには安全に実験ができるようでなければなりません.通常ポーラスシリコンを作るときには,濃度が1050%のフッ化水素酸を用いますが,これは残念ながら毒性が強く,教育の現場で用いるには適当ではありません.そこで当研究室では,より安全にポーラスシリコンを作る方法を開発するため,研究を進めています.その第1段階として,使用するフッ化水素酸の濃度をできる限り減らすことを試みました.その結果,濃度0.1%のフッ化水素酸で,可視発光を示すポーラスシリコンを作製することができました(発表論文).なお,このような低濃度の溶液を使用すると,著しく低い電流密度で発光性の試料を作製することができます.これを利用すれば,外部電源を使用せずに,室内照明による光電流だけで発光性ポーラスシリコンを作製することができます.

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ビーカーの中で簡単に発光させることができます

(写真は0.3%のフッ化水素酸で作製した試料)

 

 

ご質問等がありましたら遠慮なくメールでお問い合わせください.

 

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